「遠隔読影マッチングサービス事業」について

最近、一部の遠隔画像診断事業者が、従来の遠隔画像診断支援サービスではなく「遠隔読影マッチングサービス事業」として事業展開し始めました。マッチングサービス事業とは人材募集や取引先開拓などで最適な引き合わせを行うことで、遠隔画像診断においてはその対象は依頼元医療機関と読影医ということになります。

たとえばマッチングサービスの代表格であるUberは車で移動を行いたい人と一般人が自分の空き時間と自家用車のマッチングを行っており、Airbnbは旅行先等で宿泊したい人と、民泊などの部屋とのマッチングということになります。これらはインターネット上にITインフラを構築しマッチング場所=プラットホームを提供しており、プラットホーム事業、プラットホームエコノミーとも呼ばれます。

一部の遠隔画像診断事業者が、「遠隔画像診断支援サービス」から「遠隔読影マッチングサービス」に変更した理由も、先に述べた遠隔画像診断ガイドラインにおける、画像診断を医療行為としたことによる影響と考えます。

つまり、営利法人である株式会社は医療機関を開設することはできず、医療行為ができないため、遠隔画像診断についても、株式会社が行うことが出来ないと判断し、会社が提供するサービスは画像診断そのものではなく、「依頼元医療機関と専門医との間のマッチングサービスとこれに付随する情報通信システムプラットホームの提供サービス」としたということです。

遠隔画像診断事業者が医師法や医療法上の違法性がないとするための方法ですが、結局診療所を開設していない読影医が個人事業主や法人として契約した場合は、同じ医師法や医療法上の問題を、会社から読影医側に移しただけということになり、遠隔画像診断事業者はその点は見て見ぬふりをするのかという疑問も生じます

「遠隔読影マッチングサービス事業」を否定するわけではありませんが、会社自らの違法性を逃れるために事業形態を転換した印象はぬぐえず、やはり遠隔画像診断支援サービスをしっかり再定義し、現在の医療制度等に適合し発展していくための方法を考えないといけないと思います。

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