遠隔画像診断の将来への提言

遠隔画像診断は常勤放射線科医による画像診断の補完ではありますが、圧倒的に放射線科医が不足している現状において少ない放射線科医でより多くの読影レポートを記載するための非常に優れたツールであり、現在の日本の医療を支える一端を担っていると考えます。

発展途上の時期においては、便利で有用であるということだけで大きな問題もなく利用されてきましたが、遠隔画像診断の医療においての存在感が大きくなり、それゆえに現在の医療制度との整合性含め様々な問題が目立つようになってきました。

問題の根底には、日本の医療の基本となる法律、医師法および医療法等が、遠隔診療、遠隔診断などを想定されて規定されていないことと、医療における非営利の原則と現在の株式会社なども参入している遠隔画像診断支援サービスとの整合性に集約されます。

法規や制度の問題は行政、立法府含め遠隔診療、遠隔診断全体的な立場からの対応が必要であり、医療の非営利性も国民皆保険制度とならんで根本原則の一つであることから、これらを見直していくことは、遠隔画像診断という一分野のレベルを遙かに超えたものとなります。

ですので、まず第一段階としては既存の医療制度の枠組みの中での整合性を得て、さらに医療の中での役割を明確化し信頼されたものにするためににも、遠隔画像診断の側から既存の制度に合わせて修正し対応していくことが必要と考えます。そして、比較的似た状況にある病理診断との足並みをそろえていくことも重要と思います。

本項では、よりよい遠隔画像診断に向けての、具体的な提言をお伝えしていきたいと思います。

  1. なぜ遠隔画像診断の医療の中での役割を明確化する必要があるのか
  2. 医療行為としての遠隔画像診断と非医療行為としての遠隔画像診断の再定義
  3. 医療行為としての遠隔画像診断の拡充への提言 1
  4. 医療行為としての遠隔画像診断の拡充への提言 2
  5. 商用サービスである遠隔画像診断支援サービスへの提言
  6. 将来への提言のまとめ

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