画像診断の外部への委託について

前項で遠隔画像診断は病院と読影医間、病院と遠隔画像診断支援サービス事業者間の業務委託契約に基づいて行なわれることが多いと説明しました。遠隔画像診断つまり読影の外部への委託は、商用サービスのスタートから25年以上の歴史があり、診療報酬上で遠隔画像診断管理加算が認められてからも15年以上となります。私立病院や診療所はもちろん多くの国立、公立病院も商用の遠隔画像診断支援サービスを受けていますし、読影は外部に委託できるものと皆さん考えていると思います。また実際に外部委託出来ています。検査会社に依頼する病理検査と返却される病理レポートと同じようなものと皆さん考えられていると思います。

2013年12月11日の中医協議事録(画像診断管理加算の施設基準に外部への委託の禁止が議論された回)にも当時の宇都宮医療課長の発言として以下の様な記載があります。

画像診断自体についての委託は、診療報酬の中でも可能なんですが、この加算については、あくまでその施設で質の高い診断をしていることを評価しているので、診療報酬全体として、外部機関への委託を認めていないということではございません。そこのところは、誤解のないようにお願いしたいと思います。

ということで、画像診断の外部への委託は認められていると厚生労働省も公式に答弁しています。

それでは読影の外部への委託はどの様な根拠に基づいて可能なのでしょうか。まず医療機関が外部委託できる業務の範囲はどの様に考えられているのでしょうか。例えば手術を外部委託できるとは誰もが考えていないと思います。

一般的に病院・診療所の業務については3つのカテゴリーに分けられて考えられています。ただし、法的に明文化されたものではありません。

  • カテゴリー1 診療行為(医療行為そのもの)
  • カテゴリー2 政令8業務(検体検査・給食など)、院内物流管理、医療事務など
  • カテゴリー3 建物維持管理、清掃、警備、売店やレストラン運営など

一般的にはカテゴリー1以外が業務委託可能とされます。カテゴリー1が業務委託禁止と法律等に記載されているわけではありませんが、医師などの院内業務は、医療法により定従事者数の充足義務があることから、当該従事者に対する管理権限の及ばない委託形態は認められないと考えられているようです。

 病理検査はカテゴリー2の検体検査の中に入り政令8業務の中の一つとなっています政令8業務とは、医療法施行令により「診療等の著しい影響を与える業務」として基準が設けられている業務のことです。(検体検査業務、患者給食業務、消毒・滅菌業務、患者輸送業務、リネンサプライ業務、医療機器保守管理業務、医療用ガス保守点検業務、清掃業務)

 1992(平成4)年7月1日付けにて公布された医療法の一部を改正する法律で、初めて病院・診療所等の業務委託に関する制度が医療法に盛り込まれました。同法によって、医療機関が「診療等の著しい影響を与える業務」を外部に委託する場合には、厚生労働省令で定める基準に適合する者に委託しなければならないことが規定されました。1992年は遠隔画像診断支援サービスは開始するにも至っていません。

 病理検査はカテゴリー2で医療行為そのものとされていませんが、「診療等の著しい影響を与える業務」であるため、厚生労働省令で定める基準に適合する者に対して外部委託が可能となっています。

 遠隔画像診断支援サービスは病理検査における病理レポート同様と述べましたが、病理検査とは異なり、「診療等の著しい影響を与える業務」と考えられるにも関わらず、医療法や医療法施行令のどこにも記載がなく宙に浮いた存在になっていることがわかります。

病理検査と病理診断は異なり、これは遠隔画像診断とも関係するかなり複雑で重要な話ですので別項で解説します。

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