ISDN回線や、画像キャプチャシステム、DICOM規格などの基礎的な技術の確立とインフラ導入の価格の低下により、1994(平成6)年にセコム(株)により初の商用遠隔画像診断支援サービス「ホスピネット」として開始されます(現在はセコム医療システム(株)の1部門)。セコム社のホームページには下記の様な説明がなされています。
その後、同様の遠隔画像診断支援サービスに多くの企業が参入するに至ります。1995(平成7)年には(株)ネットホスピタルに加え、放射線科医の佐藤俊彦先生が、現在の業界最大手(株)ドクターネットの前身となる(有)ドクターネットを立ち上げ、1997(平成9)年から遠隔画像診断支援サービスを開始し、いずれの会社も急成長を遂げます。遠隔画像診断「支援」サービスと銘打っているのは、対面診療を絶対とする医師法との関係から、実際に診察する主治医に対する診療・診断の支援≒「コンサルテーション」とすることによって、その問題を回避するためであったと考えられます。
あくまでも診療・診断の支援ですから、商用の遠隔画像診断支援サービスは診療報酬とは全く関係ないものです。そもそも画像診断の診療報酬は、例えば、CT検査が実施された場合は、CT検査料に加えコンピュータ断層診断料(現在450点=4500円)が月1回算定することが可能です。これが主治医への読影に対する対価となります。遠隔画像診断支援サービスのコストはこちらを原資として、病院の持ち出しとして依頼されることになります。病院が画像診断の質の向上を目的として、遠隔画像診断支援サービスを利用することに伴う依頼側の診療報酬上の上乗せは一切ありません。CTやMRIの遠隔画像診断支援サービスの読影料金の相場が3500円前後なのは、このコンピュータ断層診断料がベースとなっています。
病院が費用を持ちだしてまでも遠隔画像診断支援サービスに依頼するというのは、CT、MRI機器の発達に伴う画像診断の専門化や件数、画像枚数の増加、それにともない主治医と放射線科医(≒画像診断専門医)との、画像のダブルチェックの重要性の認識の広がり背景としたものですが、1994年から現在までそのビジネスモデルが継続しているということは、画像診断の潜在的需要の大きさを伺わせます。