遠隔画像診断を利用したいと考えたとき、数多くの遠隔画像診断支援サービスの事業者が存在するなかで、どのような事業者を選択すればよいのでしょうか。当然ながら第一に「質の高いレポート」が得られること、そして至急読影含めレポート返却までの時間の明確化や対応窓口の充実が求められます。また価格も重要な項目の一つでしょう。
現在、事業者の認証制度などはなく、ホームページなどをみても統一した記載にはなっておらず同一条件で比較するのがむずかしい状況です。また、一番重要な「レポートの質」を定量評価するのは難しく、契約前に「レポートの質」での選択はほぼ不可能なのが実情です。そのような現状の中、正解はありませんがより希望に合った事業者を選択する際のノウハウをお教えします。
その前提として「レポートの質」の定義について言及しておきます。ここでの「レポートの質」とは、難しい疾患や希少な疾患を言い当てるのが質の高いレポートではありません。所見に見落としがないことは大前提として、遠隔画像診断においては、依頼情報などの臨床情報が少ないことが多いこと、すべての比較過去画像がない場合が多いこと、主治医との関係性が希薄であることなどから、施設内の常勤医のレポートとは違ったより丁寧な記載が求められます。通常の常勤医が記載するレポートとの共通する点も多いですが、以下のような点をより満たしているのが、遠隔画像診断における「質の高いレポート」と考えています。
- 依頼コメントに的確に答えている
- 誤字脱字がなく日本語として適切である
- 適切な改行など読みやすさに配慮がなされている
- 一般的でない略語や英語を使用していない
- 比較検査の有無等に言及している
- 冗長すぎず簡潔すぎず適切な記載である
- 重要な所見については添付画像がある
- 添付画像の有所見部には矢印などが記載されている
- 添付画像と所見が対応できるよう所見に(図1)などの表記がある
- 適切な数の鑑別診断や次に行うべき検査、今後の経過観察の必要性などにつき言及がある
- 診断(所見のまとめ)欄に画像診断名だけでなく所見のまとめとして、所見の要約が記載がなされている
それでは、お進みください。