大学医局の遠隔画像診断への参入 2000年代中頃〜

2004(平成16)年に新臨床研修制度がはじまります。以前の臨床研修制度は、大学や臨床研修指定病院で研修を受けることが努力目標でしたが、平成16年4月より「診療に従事しようとする医師は、二年以上、医学を履修する過程を置く大学に付属する病院又は厚生労働大臣の指定する病院において研修を受けなければならない。」とされ、医師の臨床研修が義務化されました。

それにより、いままで大学卒業から所属大学医局へのストレート入局が既定路線であったシステムが一気に崩壊します。2年間も各医局に新卒医師が入局しないこととなり、各医局は人手不足に陥り関連病院から多くの医師を大学病院に引き戻すことになります。

これにより関連病院の常勤医が非常勤となり、さらに非常勤を置き換えるものとして白羽の矢が立ったのが、遠隔画像診断です。多くの医局が株式会社やNPO法人といった法人を設立して、その法人を経由し、医局員に遠隔画像診断を行わせるようになります。

私の所属するイメージ・コミュニケーション(株)も2005(平成17)年に京都府立医科大学大学発ベンチャー企業ととして設立されたもので、その経緯はまさに新臨床研修制度を端緒とした大学への人材の引き戻しにより空席となった病院に対する読影支援に加え、画像診断のニーズの増加による読影依頼施設の増加が背景です。

近隣においても、2004(平成16)年に神戸大学がNPO法人神戸画像診断支援センター、大阪大学がNPO法人大阪先端画像医学研究機構と(株)大阪先端画像センター、京都大学が2007(平成19)年に京都プロメド(株)を設立し、弊社と同様に医局員により関連病院の遠隔画像診断を行うようになります。

この大学医局の遠隔画像診断の参入により、遠隔画像診断の市場はさらに急拡大することとなり、放射線診療における遠隔画像診断の確立と、実臨床においても名実ともに必要不可欠なものとなります。

診療報酬の項目でも説明したように、診療報酬で加算が認められた遠隔画像診断は、受信側施設が、画像診断管理加算を取得している特定機能病院、臨床研修指定病院、へき地医療拠点病院、へき地中核病院又はへき地医療支援病院に限定されています。大学医局が遠隔画像診を受託する組織は、大学病院そのものではなく、その多くが大学医局が設立したNPO法人や株式会社であることより、大手商用サービスや独立放射線科医が受託しているような、診療報酬外の商用サービス(=遠隔画像診断支援サービス)と同様ということになります。

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