病理検査(診断)は主に医療機関外で行われていたものを医療機関内で行おうという方向性、遠隔画像診断は医療機関内で行われていたものを、医療機関外で行おうという方向性で、それぞれ出発点が全く逆となりますが、医療機関以外での実質的な「診断」がおこなわれ、主治医に対する診療・診断の支援(参考意見やコンサルテーションなど)という形で、医療機関に報告されている現状には共通点が見られます。
いずれも商用サービスとなる衛生検査所における病理学的検査はもちろんのこと、遠隔画像診断支援サービスも既に医療においてはなくてはならない存在になっています。
まずは、医療行為である医療機関内の「病理診断」・「画像診断」と、医療機関外での「病理検査報告」・「遠隔画像診断支援サービス」との共存を図りつつ、めざすべきより良い方向に向かっての行動が必要と考えます。
日本病理学会は医療機関内の「病理診断報告」と医療機関外の「病理検査報告」を明確に区別し、全前者を「医療行為」、後者を「非医療行為」とすることにより、現在の法体系における問題をクリアするとともに、医療機関内での「病理診断」との差別化をはかり、将来的には「すべての病理診断を医療機関」で行うことを目標としています。
衛生検査所での「病理検査報告」は「非医療行為」とはいえ、衛生検査所への外部委託は法律で定められた施設基準や検査体制を満たし、各都道府県知事に衛生検査所としての登録を認められています。また、政令8業務の一つとなり医療法上も業務委託が明確に規定されています。
一方、遠隔画像診断に関しては、日本医学放射線学会が「画像診断は医療行為」としたものの、遠隔画像診断支援サービスについての解釈については明確ではなく、遠隔画像診断支援サービス事業も医療法含めた法律上なにも規定が存在しない状況となっています。
まずは、学会が主導して、病理と同じように医療機関内あるいは医療機関間でおこなわれる「医療行為」としての「遠隔画像診断」と、医療機関外でおこなわれる「非医療行為」としての「遠隔画像診断支援サービス」の区別を明確にし、現時点で共存を図った上で、業界団体も含めた形で「遠隔画像診断支援サービス」の質の担保のための仕組み作り、必要ならば行政とも連携し法体系の整備とあわせ、将来的には病理と同じように、「すべての画像診断を医療機関」で行うことを目標とするといったことが考えられます。
これらについての、具体的な将来への提言は別項で述べたいと思います。