ISDNに始まったデジタル通信回線の高速化は急速に進みます。ISDNと同じくメタリック回線を用いたADSLが2000(平成12)年から商用サービスが開始されます。東西NTTが「フレッツADSL」サービスを開始したのが2000年12月、光ファイバを利用した「Bフレッツ」サービスを開始したのが2001(平成13)年6月と、急速にブロードバンド環境が整備され、いずれも価格は5千円/月程度までと、安価な高速回線がどこでも利用できるようになります。ADSLは数Mbps~数10Mbps、光ファイバは100Mbps以上とISDNより一気に高速化が達成され、画像送受信の時間が大幅に短縮され、遠隔画像診断で院内診断とほぼ同様のレスポンスで至急診断をおこなうことも十分可能になります。
病院内の環境に目を向ければ、CT・MRIなどに加え、X線写真やマンモグラフィがCR、DR化され、すべての画像診断機器のデジタル化が進みます。DICOM期格の一般化、それに加えてPACSや放射線情報システム(RIS)の普及により院内フィルムレス化への足がかりが出来上がります。同時期に電子カルテシステムが普及し始めます。
さらに2008(平成20)年に「電子画像管理加算」という診療報酬点数が新設され、フィルムに出力されていた画像を、デジタルデータに変換してサーバに保存することで、加算を算定できることになりました。この診療報酬上の加算が登場したことで「フィルムレス」が急速に普及します。
フィルムレスになるということは画像がデジタルで保管され、画像ネットワークが構築されていることを意味しますので、遠隔画像診断に依頼するハードルが、院内インフラの面からもさらに下がることになります。