病理における外部委託 1

さきほど、病理検査は「診療等の著しい影響を与える業務」である政令8業務の一つ(検体検査の一部)として認められ、外部委託可能とされていると説明しました。検査会社における標本の作製に加えて、病理医による検鏡の後にレポートが作成され、依頼元医療機関に返送されます。病理医は検体検査会社の社員である場合やアルバイトである場合など様々で、社員で無い場合は、病理医に再委託されている点も遠隔画像診断と全く同じ構図です。それでは遠隔画像診断で生じたような問題は生じていないのでしょうか。

病理検査は歴史が古く、かなり昔から病院や診療所外に標本作成等が外部に委託されてきた経緯があります。しかし病理検査という名前にあるように、検体検査の一分野であり病理診断科という標榜科は2008(平成20)年になってようやく認められました。診療報酬上も検査の項目の中の病理学的検査として長年取り扱われ、病理診断の項目が追加されたのも同年からとなります。

病院や診療所といった医療機関から外部に依託される検体検査のほとんどは全国の衛生検査所が受託して検査業務を行なっています。これらの衛生検査所は、1958(昭和33)年に施行された衛生検査技師法の流れをくむ臨床検査に関する法律で定められた施設基準や検査体制を満たし、各都道府県知事に衛生検査所としての登録を認められた施設です。

病院や診療所はこれら衛生検査所に病理学的検査を依頼する訳ですが、標本作成などの病理学的検査の部分に加えて病理医による検鏡の後にレポートが作成され依頼医療機関に返却することはすでに通例となっていました。1992(平成4)年7月1日付けにて公布された医療法の一部を改正する法律で、初めて病院・診療所等の業務委託に関する制度が医療法に盛り込まれた際にも、病理学的検査を含む検体検査が「診療等の著しい影響を与える業務」として、政令8業務の一つとなり医療法上も業務委託が明確に規定されますが、検査の一部としてのレポートの返却はそのまま継続され現在に至っています。

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