安価かつ高速なVPNの普及  2000年代中頃〜

ISDNでお互い接続されたネットワークは、通信速度は十分ではありませんが1対1の接続で専用線と同等でセキュリティーが確保されたものでした。ADSL、光ファイバが登場し回線は高速となりましたが、ISDNと同じような1対1の接続ではないため、セキュリティの確保された回線(例えば専用線)を準備するにはそれなりの費用がかかりました。そこで共用回線内で仮想的に専用線に見立てたセキュリティが確保されたVPN(Virtual Private Network)を構築することが一般的になります。

NTTでは2003(平成15)年からフレッツ・グループというサービスを提供開始し、同一都道府県内で、ADSL、Bフレッツを利用した安価なVPN網を構築することが可能となりました。また、2008(平成20)年に、NTTより「フレッツ・VPNワイド」サービスが開始され、東西NTT管内それぞれでVPN網を構築することが可能となり、東西接続サービスを契約すると、日本中にVPN網を構築することが可能となりました。これにより、1拠点あたりの回線費用込みのVPN費用が、100Mbpsベストエフォートで1万円/月以下に価格が下がることになりました。また同時期にNTT以外の通信会社が同様の価格帯で多種多様のVPNサービスを提供するに至ります。

例えば、私の所属するイメージ・コミュニケーション(株)では、京都府が敷設した行政デジタルハイウェイである京都デジタル疏水ネットワークが2003(平成15)年に利用開始されたことにより、まずはそれを利用しMPLS-VPNを構築しました。ほとんどフル帯域が利用可能な10Mbpsの契約で約3万円/月、100Mbpsの契約で約12万円/月と比較的安価でしたが、2008(平成20)年に、NTTより「フレッツ・VPNワイド」サービスが開始されたことにより、100Mbpsベストエフォートで、1万円以下に価格が下がることになりました。

さらに、上記のような閉域網内のVPNでは無く、インターネット回線を利用しその中にVPN網を構築するとういうインターネットVPNも急速に普及します。こちらでは既存のインターネットに、VPN装置あるいはVPNソフトウエアをインストールしたPCを設置するだけで、遠隔画像診断が利用できるようになります。インターネットのスピードも動画配信の時代となり、CT、MRIの枚数が増加したとは言え、特に問題となるほどのデータ量ではなくなり、通信インフラとしての問題(コスト、スピード、セキュリティ)はほぼ解決されることとなります。

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