病理における外部委託 2

衛生検査所は医療機関ではなく営利企業も参入していることから、病理診断を医療行為とするなら、現在遠隔画像診断で起こっている問題が病理でも起こっていることになりますが、それはどうなっているでしょうか。

病理学的検査は検体検査の一部として扱われ、医療行為(=医行為)かどうかは不明確な状況が続いてきており、そのような中で病理レポートがつけられ続けてきました。

1989(平成元)年に日本病理学会からの政府への疑義照会「患者(生存者)の病理診断に関し、標本の病理学的所見を客観的に記述すること(たとえば異型細胞が多い、好中球浸潤が多い等)は医行為ではないが、それに基づき病理学的診断(がんである等)を行うことは、結果として人体に危害を及ぼすおそれのある行為であり医行為であると考えるがどうか。」について、「貴見の通りである」(厚生省健康政策局医事課長)との回答があります(医事第90号平成元年12月28日)。これにより明確に病理診断は医療行為とされました。その後、衛生検査所における病理レポートの取り扱いが徐々に問題になることになります。

衛生検査所での病理検査レポートは、検査所に所属している、あるいは検査所から委託された病理医があくまで、主治医(依頼医)に助言・意見を報告しているに過ぎず、最終的な責任は検査を依頼した臨床医にあると解釈されています。つまり遠隔画像診断支援サービスと同様の解釈といえます。というより遠隔画像診断支援サービスのモデルが、衛生検査所での病理検査レポートを模したものと言えるでしょう。

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