画像診断管理加算2の大幅増点と遠隔画像診断の発展 2008年〜

1996(平成8)年の診療報酬の改訂で初めて認められた画像診断管理加算は、その後若干の増点が認められます。2008(平成20)年の診療報酬改定においても、画像診断管理加算1は58点から70点に、画像診断管理加算2は87点が180点に画像診断管理加算の増点が認められ、特に画像診断管理加算2の大幅増点は相当なインパクトとなりました。

画像診断管理加算2は診療所では取得出来ず病院でのみ認められた加算です。その施設基準として最もハードルが高いものが、翌診療日までに8割以上のCT・MRI・RI検査の読影結果を常勤画像診断専任医師により文書で報告しなければならない点です。

この画像診断管理加算2の大幅増点は画像診断医の必要性が認められたという喜ばしい側面の一方で、「翌診療日までに8割以上のCT・MRI・RI検査の読影結果を常勤画像診断専任医師により文書で報告されなければならない」という厳しい施設基準は、病院の常勤放射線科医に大きな負担を強いることになります。

病院の経営側としては、画像診断管理加算2の取得は願ってもない収入の増加であり、当然ながら病院は画像診断専任医師(≒放射線科医)に「翌診療日までに8割以上のCT、MRI、RI検査の読影結果報告」を要求することとなります。多くの病院において検査件数や画像データの増加に応じて放射線科医が充足できているところは少なく、また放射線科医の増員が一朝一夕にできるわけでは無い状況では、既存の常勤医に相当なプレッシャーがかかることになります。

雑誌月刊新医療の同年11月号において、「画像診断管理加算2取得の方法論」いうテーマが組まれ、(株)ドクターネット代表取締役社長である放射線科医の佐藤俊彦先生が「画像診断管理加算2取得と病院経営」というタイトルで論文を発表されます。その詳細は論文をお読み頂ければとおもいますが、その内容のポイントは、

・病院経営において画像診断管理加算の取得は大きな収入増加につながる。
・常勤放射線科医が在籍している病院や中核病院(特定機能病院、臨床研修指定病院、へき地医療拠点病院、へき地中核病院又はへき地医療支援病院)は常勤放射線科医と非常勤放射線科医との連携を遠隔画像診断を用いて行う。
・常勤放射線科医がいる病院や中核病院は、遠隔画像診断支援サービスを利用して1次読影を行ってもらい、常勤放射線科医が監修・修正して確定レポートを作成することにより、翌診療日までに8割以上のCT・MR・RI検査の読影結果報告をクリアし、画像診断管理加算2の施設基準を維持する。
・常勤放射線科医がいない病院は、中核病院に遠隔画像診断を依頼し、遠隔画像診断加算を取得出来るようにする。

これにより、病院は画像診断管理加算2の施設基準を満たし、常勤放射線科医がいない病院は遠隔画像診断加算が取得可能となり、常勤放射線科医の負荷が軽減し、主治医も患者も画像診断レポートを迅速に受け取ることが可能となるというものです。そして遠隔画像診断医、遠隔画像診断支援サービス提供会社の収入の増加につながる、三方一両「得」、Win-Win のプランというわけです。

実際この論文を元に、一部の遠隔画像診断支援サービス提供者が常勤放射線科医の在籍する病院に営業をおこない、新規顧客を開拓していった事例もあり、さらに遠隔画像診断の市場が広がり、ある意味で遠隔画像診断支援サービスの発展のピークを迎えることとなります。

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