遠隔画像診断が商用サービスとして行われた弊害

遠隔画像診断は主に商用サービスである「遠隔画像診断支援サービス」として広がったことは述べた通りです。これは既存の医療制度や診療報酬制度外の自由市場経済として発展してきました。

そのために、検体検査業務が一般入札されるのと同じく、病院が画像診断を外部委託する際にも入札案件とされる場合も多く、その場合は価格が安いほうが選択されることになります。また入札案件でなくとも複数の事業者から見積もりを取り、価格交渉されることにより価格の下方圧力がかかります。

検体検査は機械での処理に負うところが大きいですが、画像診断は読影医の労働量と直結する労働集約性の高い業務であることから、競争入札や過剰な業者間の価格競争は安い診断料を読影医に押し付けることになってしまいます。

価格競争は商用サービスのため致し方ないことではありますが、その結果として読影医のモチベーション低下やレポートの質の低下、見落としの増加など、負の側面が大きく目立つようになってきました。

本来ならば読影医自身が安価な読影料を受け入れなければ良い話ですが、家で副業が出来てそれほどリスクもないなら、安価に引き受けても良いと考える読影医が多いのも実情で、結果的に読影医全体の首を絞めている現実があります。

注:病理でも同じことが起こっていますが、病理検査は検体検査と抱き合わせであることが多く、病理検査の赤字を検体検査で埋め合わせるという別の構造があるため、遠隔画像診断と同じというわけではないようです。

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