商用サービスとしての遠隔画像診断は、遠隔画像診断「支援」であり、あくまでも主治医(検査依頼医)の診断のサポート、コンサルテーションとしての位置づけのもので、診療報酬とは関係ないことは先程説明しました。
また、診療報酬において読影に対する対価と考えられているコンピュータ断層診断料も、検査料と同時に主治医(依頼医)側でほぼ自動的に算定され、画像診断を専門とする医師による読影の有無は評価の対象にはなっていませんでした。
そもそも日本医師会は専門医などの資格による診療報酬の差異の導入には一貫して反対の立場でしたので、厚生労働省も専門医による読影の評価には慎重にならざる得なかったと思われます。
日本医学放射線学会や専門医会の尽力により、画像診断の専門化や画像診断を「専任」とする医師による読影を評価するものとして、1996(平成8)年の診療報酬改定において、画像診断管理加算が創設されることになります。
これは、エックス線写真診断、核医学診断、コンピュータ断層診断について、画像診断専任の常勤医師が診断を行い、主治医に文書で報告した場合にそれぞれに月一回に限り36点をを加算するものです。これにより診療報酬上も画像診断を専任とする医師による読影が初めて評価されました。
さらに、2002年(平成14)年の診療報酬改定において、遠隔画像診断がはじめて記載されます。これは、へき地・離島等において画像撮影を行った医療機関が連携医療機関に画像を送信し、連携医療機関において診断が行われた場合に、送信側の医療機関において撮影料の他に、診断料及び画像診断管理加算を算定できることするものです(便宜上、遠隔画像診断管理加算と呼ぶこととします)。これにより遠隔画像診断の診療報酬上の上乗せが初めて実現することになります。ただし、施設基準において受信側の施設は、画像診断管理加算を取得している特定機能病院、臨床研修指定病院、へき地医療拠点病院、へき地中核病院又はへき地医療支援病院ときわめて限定されています。
このように、遠隔画像診断が診療報酬上で認められることとなりますが、商用サービスである遠隔画像診断支援はこの範疇外であることは従来通りです。理論上は診療報酬上算定が可能になった、受信施設が画像診断管理加算を取得している特定機能病院、臨床研修指定病院、へき地医療拠点病院、へき地中核病院又はへき地医療支援病院となる遠隔画像診断が増加し、その一方で商用サービスのニーズは減少すると思われましたが、実際はそのようにはならず、徐々に診療報酬でみとめられた遠隔画像診断加算の取得は増加するものの、診療報酬外の遠隔画像診断支援サービスがさらに急速に増加していく時代が続きます。