医療行為としての遠隔画像診断の拡充への提言 1

現在の診療報酬で認められている遠隔画像診断は2種類あり、その一つは医療機関の間で認められている遠隔画像診断です。

先に述べたように、2002年(平成14)年の診療報酬改定において、遠隔画像診断がはじめて記載され、へき地・離島等において画像撮影を行った医療機関が連携医療機関に画像を送信し、連携医療機関において診断が行われた場合に、送信側の医療機関において撮影料の他に、診断料及び画像診断管理加算を算定できることするものです。

ただし、施設基準において受信側の施設は、画像診断管理加算を取得している特定機能病院、臨床研修指定病院、へき地医療拠点病院、へき地中核病院又はへき地医療支援病院ときわめて限定されているため、それほど診療報酬で認められた遠隔画像診断が拡大するに至っていません。

これら既存の制度で認められた医療機関での遠隔画像診断の拡充を進めるのはもちろんではありますが、これら中核病院は自施設の検査数が多く、他の医療機関の読影にまで手が回らないのが実情です。

病理においては2016(平成28)年の診療報酬改定において、保険医療機関間の連携による病理診断の受信側医療機関の要件の変更が行われました。これは受信側の医療機関を病理診断科を標榜する診療所含む医療機関とするものです。

遠隔画像診断もこれにならい、受信側医療機関の要件の見直しを行い「画像診断管理加算を取得している医療機関」での受信を可能にすることにより、診療報酬で認められた遠隔画像診断の受け皿を広げることを提言します。

さらに、診療報酬で認められた遠隔画像診断は外部への委託に当たらないことを明確にし、画像診断を専任にする常勤医が在籍し画像診断管理加算を取得している医療機関も、画像診断管理加算を取得している他の医療機関に診断を依頼することを可能とすることにより、送信側の画像診断を専任にする常勤医自身がより専門の医師の診断を仰いだり、常勤医が不在の時(夜間や休日、休暇中など)でも、遠隔画像診断を利用することにより他の医療機関の専門医の診断を得ることが可能となります。

その際に画像診断管理加算2を取得している施設が他の医療機関に診断を依頼する場合は、依頼検査数を20%以下とすることを明確にすることにより、既存の画像診断管理加算の施設基準との整合性を取ることが必要と考えます。

また、現在は遠隔画像診断管理加算は受信側の画像診断管理加算を送信側で算定できるようにするものですが、受信側が画像診断管理加算2を取得している場合は、送信側が診療所であっても遠隔画像診断管理加算2を取得できるという別の不整合も存在するため、送信側が診療所の場合は、算定できるのは遠隔画像診断管理加算1とすることも合わせて改定することを提言します。

なお、受側施設の制限は現在と同程度に必要とするのであれば、「画像診断管理加算を取得している医療機関」での受信を可能にしたうえで、特定機能病院、臨床研修指定病院、へき地医療拠点病院、へき地中核病院又はへき地医療支援病院以外が受信側の施設の場合は、送信側は依頼検査分の遠隔画像診断管理加算を算定することは出来ないが、外部への委託に当たらないこととし、送信側に画像診断を専任とする常勤医が在籍し画像診断管理加算を取得している医療機関も送信側の画像診断を専任にする常勤医自身がより専門の医師の診断を仰いだり、常勤医が不在の時(夜間や休日、休暇中など)に、遠隔画像診断を利用することにより他の医療機関の専門医の診断を得ることが可能となるように提言します。この場合も画像診断管理加算2を取得している施設が他の医療機関に診断を依頼する場合は、依頼検査数を20%以下とすることを明確にすることにより、既存の画像診断管理加算の施設基準との整合性を取ることが必要と考えます。

<戻る     次へ>

タイトルとURLをコピーしました